今まで消費者の生活に取り入れられてきた特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品より、機能性表示食品は科学的根拠に基づいた機能性が特色とされています。
そのため、関与成分についての考え方や複数の成分が配合されている場合の効果についてなど、一般的に広まっていない面もあります。今回はそんな機能性表示食品について説明して行きます。
機能性表示食品とは?
機能性を特色とする食品は、過去にも特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品がありました。
同じ保健機能食品の中に分類される機能性表示食品は、それまでの保健機能食品とはどこが違うのでしょうか?科学的根拠が確認された成分が含まれている食品という点は3食品とも同じです。
しかし、効果の表示や消費者庁長官の許可の点などに違いがあります。食品の安全性や機能性についての情報は、販売前に消費者庁長官に提出されます。このように届出の必要はありますが、消費者庁長官の認可は入りません。
科学的根拠に基づいた効果が、販売元の事業者の責任で表示できます。多くの食品の機能性をわかりやすく伝え、消費者が商品を活用しやすくなるように機能性表示食品の精度は始められました。
機能性表示食品の基本的な表示は?
まず、パッケージの表面などに「機能性表示食品」という表示がされています。その下に届出番号が記載されているので、その番号を使って消費者庁のウェブサイトで商品情報を調べることができます。さらに、届出をした成分についての表示があります。
裏面には、1日の摂取量や摂取方法、注意事項、機能性表示食品が医薬品ではないことなどが示されています。食品の1日の摂取量から、どの程度の機能性関与成分を取ることができるかもわかります。一般食品との表示が大きく異なるのは、疾病のある人、未成年者、妊産婦などを対象に開発した食品ではないことが記されている点です。
そして、最後には事業者へ問い合わせができる電話番号の記載があります。
関与成分とは?
機能性表示食品に含まれる関与成分には何があるでしょうか。栄養源(エネルギー源)になる糖質(ブドウ糖、果糖など)以外の糖類、オリゴ糖・糖アルコール・アラビノース・プシコース・パラチノース・ラクトスクロース・アロースなどが該当すると言われています。
安全性評価では、製造方法も評価の対象となり検討されています。ただし、関与成分として認定することが明確になっていない要素もあります。植物エキスおよびその分泌物は関与成分とされましたが、菌を基原としたエキスは対象外になっているなど制度の発足当初は認定を見送られています。
その他、ビタミン・ミネラル類に関しても栄養機能食品制度との関係や栄養政策の整合性などの点で、関与成分には含まれていません。
関与成分が複数含まれている場合の問題点
関与成分が2つ以上含まれている食品についてはどうでしょうか。一般的な食生活の中で摂取している食品は、生鮮食品を中心に調味料や香辛料といったものを含め膨大な数です。新しい育成方法・製造方法で作られた食品も数多く登場してきます。
それに加えて、持病の治療に必要な医薬品や健康をサポートするためのサプリメントなど、多様な摂取をしています。それぞれの成分の相互作用から健康被害が発生する恐れがあり、消費者庁ではそれぞれの製品での確認を求めています。
さらに、相互作用が認められた場合の安全性を科学的に説明できることを重要視しています。そして、他の医薬品や関与成分が含まれている食品等についても、関連性についての科学的根拠の証明を必要としています。
健康被害を受けないためには?
複数の関与成分が含まれていることが原因での健康被害が起こらないために、対策は多数行われています。まず、安全性の評価では過去の食経験、安全性に関する一般的な情報の調査、動物や人による安全性試験の実施と共に医薬品との相互作用も検証されています。
機能性の評価は最終段階の製品を使用した臨床実験、関与成分に対する研究調査を行っています。これによって、どのような人が、どのように摂取すると、どのような科学的根拠に基づいて、どのような機能性が表れるかが明確になります。
商品パッケージに表示されている文章などは、この検査・研究から導き出された結果を元に記載しています。
機能があるという表現の他に、化学レビューにより証明されている場合は報告と表現されることもあります。生産・製造・品質の管理も一般食品と同じく健康被害を防ぐことの重要な要素です。加工食品の場合の製造施設・従業員の衛生管理体制、生鮮食品の場合の生産・採取・漁獲などの衛生管理体制、規格外製品が出てしまった時の出荷防止体制、さらに、機能性関与成分の分析方法などです。
そして、健康被害が実際に起こってしまった時の情報収集体制も整えられています。消費者、医療従事者などからの連絡を受けるための体制が整えられていて、パッケージに事業者の連絡先(電話番号)が必ず表示されています。
さらに事業者などから届出をされた健康被害に関する情報は消費者庁のウェブサイトから確認することができます。
機能性表示食品と安全につき合って行くために
最後になりますが、それではどのように機能性表示食品を取り入れて行けば良いのでしょうか。まず基本になるのはバランスの取れた食生活を送ることです。糖質・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維などを必要量取り、季節ごとに異なる水分補給にも気を配ることは大切です。
その他言うまでもないことですが、適度な運動や充分な睡眠も重要です。その上で、今回の記事でも取り上げた機能性表示食品の効果・効能、安全性などを考慮し、自分自身に最適な商品を見つけてゆく必要があるでしょう。
もちろん通常使用している医薬品との関わりにも注意を払うことが大事です。加えて、万が一摂取した食品などから副作用などの健康被害が発生した場合は、消費者庁のウェブサイトなどにある情報を元にして、最善の対策が取れるように備えておきたいものです。
最後に
現在はさまざまな健康にプラスになるとされている商品が発売されています。効果の高いものもあれば、効果が高過ぎるゆえに副作用が心配されるものあります。反対に値段の割りに効果が少ないと思わされるものあるでしょう。
安全性と機能性を兼ね備えた優良な商品が増えることを願ってこれからも機能性表示食品に注目してゆきたいですね。